両軍スタメン
- 松本ホームだが、↓とは逆の位置で前半スタート。
- 長野は、田中康平が累積警告により出場停止。

松本ベンチメンバー=神田渉馬(GK)宮部大己 山本龍平 野々村鷹人 石山青空 大橋尚志 佐相壱明 国分龍司 浅川隼人
長野ベンチメンバー=田尻健(GK)行徳瑛 大野佑哉 藤森亮志 山中麗央 小西陽向 イムジフン 進昂平 浮田健誠
降雪による順延で、この日に組み込まれる事となった信州ダービー。
それはよりによって天皇杯予選決勝の4日後で、例によってそのカードも松本vs長野。
つまりは連戦と狙ったかのように組み込まれ、その効果か平日にも拘わらずその熱気は最高潮という感じでしたが、果たしてその顛末は。
今季においては、長野は1試合取り上げましたが、松本は初。
↓その際の長野の試合
兎にも角にも、前年のプレーオフのショックから抜け出すのが第一、といった印象である今季の松本。
迎えた新監督は早川知伸氏(ヘッドコーチからの昇格)で、2021年に横浜FCをJ1に残留させるというミッションを果たせなかった、というのが唯一の(トップチームの)監督経験である人物。
そんな状況故に、とにかく昇格を狙うというよりは、「戦う体勢を整え、その結果が昇格であれば……」といった思惑の方が強いでしょうか。
既に個人昇格していても可笑しくない、菊井悠介のチームに尽くす精神には頭が下がるものの、同時に前年のような悲劇的な幕切れはもう味わって欲しくないという思いもあり。
報われる日は来るのかどうか、ないしはその忠誠心が途切れてしまわないか、そんな目で見てしまいがちですがまずはこの日のダービーマッチ。
相手の長野は、「大木システム」と呼ぶべき、藤本主税監督による3-3-1-3のフォーメーションは11節(相模原戦、1-1)をもってお蔵入りとなり。
オーソドックスな3-4-2-1へとシフトした事で、ダービーに相応しいようなミラーゲームに。
その立ち上がりは、やはりロングボールの蹴り合いによる主導権の確保という展開に。
松本は前半4分、左スローインからの混戦を抜け出した滝裕太がカットイン。
そして中央寄りまで運んでミドルシュート、これをGK松原颯汰がセーブと、先制攻撃を放ちました。
立ち遅れた長野は、それを取り戻すべく先んじてボール保持の意識を高めに掛かりますが、松本のハイプレスによりままならず。
ロングボールでの逃げを強いられ(6分)、その攻めを切った松本が逆に主体的な攻撃に入るという具合に、こちらでも出遅れる格好に。
その松本の保持は、前年からの伝統といえる、距離感を長く保っての最終ラインでの繋ぎを経てのサイドチェンジの多用。
少しも変わらぬといったその姿勢により、先んじて攻勢の流れを築きに掛かります。
一方12分までで攻撃機会が1度のみという長野、何とかダービーマッチに相応しい、敵愾心をぶつける体制を整えたい所。
13分カウンターによってようやく攻撃、三田尚希の持ち運びから右ワイドで持った安藤一哉が→奥で溜めを作り、カットインを経てシュート気味に縦パス。
これをエリア内に入り込んだ三田が左足アウトで合わせますが、ゴール右へと外れモノに出来ず。
しかしこのフィニッシュにより、文字通り流れが変わったかのように逆に攻撃権の支配に至ります。
前回観た通り、長谷川雄志を軸としてのボール保持に勤しむ体制は変わらず。
それにより最終ラインは左肩上がりの色が高まりますが、露骨では無いので、ミラーゲームによる噛み合いを避けるための自然的な流れといった所でしょうか。
17分に忽那喬司が左ワイドからパス&ゴー、そしてポケットで吉田桂介の浮き球パスを収めてシュートを放つもオフサイドの判定に阻まれ。
敵陣でのゆったりとした保持から、裏を狙うといった軸が朧げながら生まれ。
そして21分、石井光輝→樋口叶の間を通すパスから持ち運びに入る樋口叶、そのままフィニッシュには入らず縦パス→加納大レイオフ。
これを右ハーフレーンで受けた安藤ですが、既に松本は帰陣して「敵陣でゆったりとした保持」のような体制でどう攻めるかという状況で、躊躇わずクロスの軌道で裏へのミドルパスと速攻を選択。
そして巧く抜け出した三田がファーサイドでヘッドで合わせ、ゴールネットを揺らす事に成功します。
松本サイドがオフサイドをアピールする事しか出来ない、決まった時は鮮やかに映るゴールで先制点に辿り着いた長野。
しかし追い掛ける松本も、ダービー故の敵愾心を盾とするためか立ち直りは早く。
この日初スタメンとなった滝裕太が、攻撃の軸である菊井の負荷を軽くするかのように動き回り、パスを引き出しに掛かり流動化を図ります。
23分にはその縦パスを受けた滝が(冨田康平に)反則を受け、中央寄りながらかなり距離のあるフリーキックに。
キッカー菊井が上げた左ポケットへの浮き球を二ノ宮慈洋が折り返し、これを中央で受けた滝はそのまま浮かせてのキープを経て最後はバイシクルシュート。
ループでゴール上を襲ったこのフィニッシュはGK松原にセーブされるも、復帰したてながらそのコンディションの良好ぶりを見せ付け。
先制のみでは満足に至らない長野サイドも当然ながら応戦。
28分にこちらもFKからの二次攻撃で、後方から忽那がドリブル突破に入ると、滝と山本康裕を剥がして一気にミドルシュートに持ち込み。(GK大内一生キャッチ)
そうした応酬も、30分過ぎになると針が傾き。
既にビルドアップで一本芯を持つ松本、34分にも安永玲央の右→左へのサイドチェンジが決まり、松村巌→樋口大輝へのスルーパスは遮断されるもこぼれ球がエリア内へ。
そして滝のレイオフを受けた山本康がミドルシュート(石井光輝がブロック)と、3列目の選手も果敢にゴールを狙い。
この辺りから、最後方ではボランチの片割れが最終ラインに降りる事で、4-1-5への可変を軸として行われるビルドアップ。
つまりは「ミシャ式」に近い形で繋ぐ体勢に入る松本。
これを軸として、出口役として降りる菊井の存在もあり長野のプレスをいなす事は容易となります。
以降長野の攻撃機会は1度のみ、37分に安藤のボールゲインからショートカウンターというものでしたが結局形にならず終わり。
前半終了まで、松本の多彩な攻撃に晒される展開を強いられる事となります。
押し込まれる事で、前述のように後方の選手もゴール付近になだれ込み。
こうなると後はゴールのみ、という状況の松本。
44分、ボールキープを交えたパスワークで中央突破を図るなか、ディフェンスにこぼされた所を拾った安永が吉田を剥がしたのち加速。
そして縦パスでアタッキングサードを突き、受けた田中想来はデイフェンスに遭うも、そのこぼれを1タッチでエリア内へ送る安永。
抜け出した菊井がシュートしましたが、オフサイドに阻まれ実りません。
ゴールへの機運は高まりながら、アディショナルタイムは無しとなった事で決められないまま前半終了となります。
共に交代無く後半開始を迎えると、やはりペースもそのままで松本の攻勢が続き。
前半は耐え凌いだ長野でしたが、クールダウンとなればその崩壊も早かった、という展開になります。
後半4分、右サイドからの前進を経て中央へ展開、安永が持つと先程と同様にエリア内へ送った浮き球に菊井が走り込む好機。
今度はオフサイドとはならず、菊井のダイレクトでのループシュートがGK松原の上を破ってゴールに吸い込まれます。
長野の先制シーン同様、守備陣の滑稽なオフサイドアピールが映えるような同点弾を経て、スタンドを煽る菊井。
これにより松本の勢いもさらに高まり……という典型的な展開に。
長野のキックオフからの攻撃が途切れ、左スローインを素早くリスタートする事で安藤が前に出た裏を突く松本と、相手の攻めっ気も利用して逆転を狙いに掛かります。
左奥へ抜け出しに成功した田中想が(冨田に)反則を受けた事で、左CKと変わらないような位置でのFKに。
キッカー菊井がニアにクロスを入れ、二ノ宮が跳ぶも合わずで流れるはずのボールは、冨田に当たる形でゴールネットを揺らします。
ヘディングシュートと見間違うような(実際、放送席では当初二ノ宮のゴールと伝えていた)オウンゴールで、一気の逆転に成功しました。
これでギアを上げなければならない長野。
セットプレー守備での側面からも、不足していた高さの補填に掛かり浮田を準備させるベンチ。
しかしその間も松本の攻撃を受け続け、反撃の機運は一向に高まらず。
ついには10分、松本がCKに持ち込んだという所での交代を余儀なくされる事に。(加納→浮田)
この右CKでもキッカー菊井は大外へのクロスで、収めた滝の戻しを経て安永がミドルシュート(ブロック)と、良く相手の状況(セットプレー守備での交代)を突いての攻撃を貫く松本。
その後も反撃どころか、追加点を狙ってさらに旺盛となる松本の攻撃を浴び続ける展開に。
松本のビルドアップを阻めないのはまだしも、自身でボール保持の時間を作れないのが致命的であり、かつ投入した浮田を活かすような立ち回りも行えず。
前回観た際と同じく、「保持したいのだけど……」という症状で、相手のハイプレスが苛烈な状況ではまるで攻撃が成り立たない。
可変による工夫も、前述のナチュラルな左肩上がりのみでは苦しく(実際松本サイドも、松村が高目に上がる意識は常時持ち併せていた)、かつ布陣変更して間もない試合だけに即興による調整もままならない。
これでは前進を果たせなくなるのも道理で、ただロングボールを送るのみという状態に追い込まれます。
そんなライバルの状態に当然ながら同情は見せない松本、14分に二ノ宮のロングパスを田中想が1タッチで裏に送り、受けた滝がエリア内を突いてシュート。(GK松原キャッチ)
16分には左から中央→右へとサイドを移すと見せかけ、小川が中央方面へと縦パスを送ると、ここも樋口大が1タッチでエリア内へ叩き。
そして走り込んだ山本康がシュート(ゴール上へ外れる)と、執拗にエリア内を突いてフィニッシュに辿り着きます。
しかし最後方でボール保持に、最前線でフィニッシュに勤しんできたベテラン・山本康にアクシデントが発生、直後の攻撃で菊井のパスを受けにいった際に足を捻って倒れ込む事態が。
その後も松本の攻めの手は緩まず、CK攻勢も浴びせてひとしきりゴールを脅かし。
そのため、山本康が気丈にプレーを続けたのもあり忘れられたかのようであったその懸念。
それは23分ついに長野が好機を迎えた(後半ようやく3度目)事で具現化し、それもロングパスが回収されたのちの、樋口叶の反則気味なボールゲインによるショートカウンター。
忽那が左から運んでカットインを経てクロス、入れられた低いクロスを三田が強引に跳び込んで合わせヘディングシュートも、ゴール右へと外れ。
冷水をぶっかけるような同点弾とはいきませんが、直後に限界を迎えてしまい倒れ込む山本康。
それと同時に杉田隼(滝同様にこれが復帰戦)も足を攣らせて倒れ込んでしまい、2人同時の交代を強いられる事となった松本。
それでも2人に代えて野々村・大橋を投入と、ターンオーバーにより温存していた主力の投入で破綻を防ぎます。
一方長野も同じタイミングで、吉田・三田→山中・進へと2枚替え。
そのため、依然として松本ペースは変わらず。
手段としては、ワイドからのFKで菊井が直接シュートを放ったり(27分、GK松原セーブ)、滝のロングスローに頼ったりと多少強引なものが増え。
それでも根幹は変わっておらず、30分には最後方からの繋ぎで長野のハイプレスを剥がし、中央突破に持ち込んだ樋口叶がミドルシュート。(GK松原セーブ)
依然として押し込まれ続ける長野、何処かでワンチャンスをモノにするぐらいしか突破口が見えず。
34分に中盤での空中戦で、拾った山中が大橋に倒された事で反則。
右サイド中盤からという位置でしたが放り込みの体勢を取る長野、一向に機運が高まらない中で、パワーサッカーの気質が高まって来たでしょうか。
しかしここからは放り込まず、同サイドへの縦パスと変化を付け、安藤のクロスの跳ね返りを拾った長谷川がシュート。
ブロックされるもここから乱戦に持ち込み、左からクロスを入れた山中が、その跳ね返りを自ら拾い狭い局面をカットインと執拗にチャンスを探し。
そして横パスを経て冨田のシュートが放たれるも枠外と、一糸をゴールに結び付ける事は出来ずとなり。
この直後に、松本は滝→佐相へと交代。
かくして、長野は攻めの形が得られないまま追い掛ける事を強いられたラスト15分に。
先程の交代により、古賀をアンカーとした3-3-2-2(3-1-4-2)へとマイナーチェンジしたようで、前への人数を増やしたのは出来る事が無いなりにも何とか手を施したという感じでしょうか。
強引に前に運ばんとするも、37分にはそこから松本のカウンターが展開され、持ち込んだ右CKからクロスの跳ね返りを安永がミドルシュート。(ブロック)
依然として松本の方にゴールの機運がある状況でしたが、勝負事の性か一寸先は解らず。
暗雲漂うなか攻める長野、左サイドに人数を掛けてのパスワークによる前進。
それが遮断されつつ、スローインの繰り返しを強いられながらも何とか成功を果たし、持ち込んだ左CK。
そして入れられたキッカー忽那のクロス、中央で跳んだ冨田には合わずも、その奥で直立のままヘッドで合わせた古賀俊太郎。
これがゴールに吸い込まれ、綺麗な前進とはいかずも泥臭くフィニッシュに辿り着いた事で同点に追い付きました。
前述の通り、セットプレーというワンチャンスを見事につかんだ長野。
それでも、依然として攻めの形を持っている松本の優勢は変わらず。
こうなると勝利は運が転がり込まない限り無理といった長野ですが、先程までのビハインド時とは雲泥の差でもあり。
43分に最後のカードを使い樋口叶→イムジフンへと交代、彼をアンカーとして古賀が一列上がり。
中央の強度を高める、このまま同点を保つ事を狙った(と思われる)采配。
その通りに44分、縦パス攻勢でシュートチャンスに持ち込んだ松本に対し、菊井がペナルティアークで撃ちにいった所をブロックで防いだイムジフン。
2-2のまま突入したAT。
まさかというような同点劇に、松本サイドもカードを使うのが遅れ、その最中(47分)に最後の交代を強いられます。
樋口大・田中想→山本龍・浅川へと2枚替え、攻撃の駒を切ったものの、これ以降フィニッシュに辿り着く事は無く。
左から山本龍のラフなクロスの連続と、攻めの質も落ちてしまい急速に機運を落とす格好となってしまいました。
結局そのまま試合終了を迎え、痛み分けの引き分けに。
特に松本の方が、内容が内容だけに手痛い勝ち点1といえた試合だったでしょうか。