<両軍スタメン> ※()内は前節のスタメン選手
- 栃木Cは、前節出場停止のマテイ・ヨニッチがスタメン復帰。
- 山形は、前節退場(警告2度)になった柳町魁耀が出場停止。

栃木Cベンチメンバー=相澤ピーターコアミ(GK)小西慶太郎 小池裕太 乾貴哉 加藤丈 大嶌貴 加藤大 吉田篤志 平岡将豪
山形ベンチメンバー=トーマス・ヒュワード=ベル(GK)イドンヒ 山田拓巳 川井歩 城和隼颯 中村亮太朗 田中祉同 平賀大空 タリソン・アウベス
- 前回の栃木Cの記事(7節・アウェイ栃木SC戦、2-3)
- 前回の山形の記事(11節・ホーム八戸戦、1-0)
今季の昇格組は八戸・宮崎・栃木Cと、今更ながら3クラブともJ2初年度という存在。
そうした中で、異端児と言えるのが栃木Cの存在でしょうか。
かつての有名選手が数多在籍し、J参入から1年でJ3を駆け抜けての昇格という点もポイント高く。
しかし、同じくそんな経歴を歩んだいわきが現在ぶつかっているように、このJ2の壁はかつてとは比べ物にならないくらい高い。
それに屈する事無く、独自路線を歩めるか否か。
それが否となった際に何処に着地点を求め、どういった未来を描くのかが試される事となり。
まあ戦いが始まる前の段階で戦力維持のためチケット代の(ryとか既に壁と向き合うような感じだったので、そろそろどう乗り越えるのか答えを何処かで示したい状況の最終盤。
そしてその場がピッチ上、というのがある意味サッカー。
前半戦は苦戦に塗れる事となったその歩みも、ペドロ・アウグストの加入(8節で登録され即スタメン)以降見違えたように勝利を重ね。
この日も、そうした駒の強化により最前線を歩むスタイルを如何無く発揮した試合となりました。
ハイプレスが特徴と言われるものの、最後方からのボール保持による組み立ても侮れないものがあるというのが、前年からの自分の栃木C評。
この日も、その最後方であるGK児玉潤がボールを持つ所からスタートさせ。
それに併せ、ボールを動かす前に周囲の選手が位置取るというスタイルで、2センターバックが幅を広げるに従いウイングを追い越すぐらい上がるサイドバック。
この距離感の広さで送られる縦パス・ロングパスを軸とした攻撃で、相手の山形を再三悩ます事となりました。
何せ選手の距離感が広いので、そのパスの距離ならびにスピードも速い。
そしてボールに合わせるように、走る選手のスピードも段違いという風であり、一度乗せてしまうと山形ディフェンスは大混乱になりかねず。
プレスを掛けようにも、GKも前に出てのボール保持に対してはベーシックな2トップによるプレッシングは無意味で、かつ相手の広い距離感により無駄に走らされるのみとなり。
そのためミドルブロックで構える、ゾーンディフェンスにも見える体勢で対抗する方針としたようでしたが、心ここにあらずな風であった山形。
あくまで強度を押し出してデュエル全開で挑みたいという意識、ならびにそれによる破綻の色が見え隠れする全体となりました。
一方かつて(J2では)保持型クラブの筆頭とも言えた、山形のボール保持。
しかし栃木Cに比べると一般的な距離感によるパスワークで、掴まえる側もそれほど苦労はしないという感じ。
それによりに山形の方が無理をする、ないしは偶然が絡まなければ前進成功は果たせないという展開に陥り。
前半6分早速それが垣間見え、プレスを受けながら繋ぐ最終ラインを経てGK渋谷飛翔が縦パスを通すも、降りて来た高橋潤哉へはズレ。
しかしマンツーマン基調の栃木Cも触れられずにその奥で國分伸太郎が拾う、ラッキーが絡んだ形でビルドアップ成功となり、左へ展開ののち持ち運んだ野嶽寛也が中央へ横パス。
これを受けた田中渉がエリア内へ切り込んでシュート(GK児玉セーブでコーナーに)と、決定機には繋げたものの、偶発性高いその前進で好循環を得られるかは微妙な一幕となり。
するとやはり直ぐに栃木Cのターンへと移り。
しっかりとボールを持つ最終ラインの一列前では、新戦力のアウグストがアンカーの働きを十二分にこなし。
つまりは山形2トップの間に立ち、そこから崩すという意識付けを果たすのが第一の役割となり。(もちろん全体流動的なチームなので彼も上がったり降りたりが絡みますが)
これにより、前回視聴時非常に不安を覚えたマテイ・ヨニッチも、プレッシャーが緩和された状態で繋ぐ環境が出来ていたでしょうか。
14分にはヨニッチのパスを2トップの間で受けたアウグストと、その定番から攻撃開始、右に降りて来た田中パウロ淳一(これも前回と同じく、5分過ぎぐらいからダヴィド・モーベルグと左右が入れ替わる)とそれを追い越す奥井諒を軸とした前進。
右奥を狙いながら、戻して再度最終ラインが持つと、今度は知念哲矢の縦パスで中央から。
受けた森俊貴に対し山形ディフェンスが取り囲まんとするも、素早く右へ展開するとパウロがフリーとなり、上げられたクロスに合わせにいくモーベルグ。
クリアされるも右へこぼれた所を森が折り返し→モーベルグ足で合わせシュート(ゴール右へ外れ)と、長いポゼッションからの連続クロスと分厚い攻撃を見せるに至り。
逆に山形は4-4-2を敷いていましたが、森への囲い込みを強めたものの結局通された事で、前述したこの守り方への不安を示してしまいます。
パス先を取り囲むあまりに逆サイドを開けてしまう事がしばしばあり、強度を押し出す意識の弊害を感じながらの守備となり。
それでも続く16分、同じく縦パスを受ける西谷和希を寺山翼が潰しに成功してショートカウンター(田中渉が持ち運んでエリア内へラストパスも、國分には繋がらず)と、やや特異なスタイルの栃木Cに対しこの日はこれでいくという気概は感じられ。(全体、降りる山下敬大に対し喰い付かない辺りゾーンの姿勢を感じる)
そんな守備時より深刻なのが攻撃、それもかつて得意としていた保持時というのが山形。
それでも20分にGK渋谷が右へフィードを通して好機を演出(受けた岡本一真がスルーパスも、横山塁が升掛友護のディフェンスで受けられず)するなど、渋谷のパス出しが機能している前半のうちはまだ良かったでしょうか。
23分にプレスを浴びながらGK渋谷からのスタートとなり、詰められてからの繋ぎとなった事で、(坂本稀吏也からの)浮き球のトラップを強いられた吉尾海夏がアウグストのボールゲインに遭い。
しかし拾ったモーベルグからすかさず奪い返した吉尾により改めて前進に入り、パスを受ける田中渉が知念に反則を受けるも、吉尾が拾ったため継続。
そして横山が中央を持ち運んでシュート(升掛がブロック)と、ここも綺麗なビルドアップ成功とは言えない過程ながら、フィニッシュに繋げる事で対抗姿勢を保ちます。
このフィニッシュののち、尚も右奥で継続しようとしている所を反則で止めてしまったのが升掛。
その升掛は29分にも、寺山の持ち運びに対し反則を犯すと警告が突き出され、特に好機阻止でも無い山形陣内であったためどうやら「繰り返し反則」で対象となった風であり。
この自陣からのFK、キッカー西村慧祐は一気にエリア内へロングパスと意表を突き、走り込んだ高橋のレイオフを経て田中渉がシュートに繋げ。(ブロックを掠めゴール右へ外れ)
何とか追いすがる様に、好機を膨らませる山形ですがやはり無理があったか。
35分に今度は栃木CがGK児玉から始めるボール保持、降りて来たモーベルグ(20分台で、再びパウロと左右を入れ替え)がボールキープを経て鋭いライナーの縦パスを通し。
収めた西谷からスルーパス→森エリア内で横パス→パウロレイオフ→山下シュート(吉尾がブロック)と、アタッカー総出でスピード感溢れる攻めを演出します。
失点は防いだ山形ですが、このスピードによりこの試合の運命は定められるに至ったでしょうか。
欧州を肌で知る今矢直城監督の下、最先端というようなスタイルを貫く栃木Cの前には、いくら日本で長らく磨かれたとは言え付いていくのがやっとと言う状況に陥り。
得意としていたボール保持の面でも、一般的な距離感によるパスワークでは、相手を上回るスピード感は出せる術もありません。
結局山形が以降(前述のFK以降)ビルドアップ成功を果たしたのは1度のみで、決定的なショートカウンターこそ無かったものの、ロングボールを蹴らされて栃木Cが回収という結果も膨らみ。
そのため栃木Cが押しまくり、その流動性に四苦八苦しながら何とか無失点で凌ぐという展開を強いられ。
栃木Cの決定機は36分の右CKからで、キッカー・モーベルグの上げたファーへのクロスに合わせにいく山下・知念の2人。
山下がバランスを崩しながらも当て、足下にこぼれた所をすかさず知念がシュート、GK渋谷も最初のクロスに跳び出していたため不在のゴールへ。
しかし西村のブロックにより寸での所で防がれるに至り。(その後升掛が追撃もブロックされ再度CKに)
押し続けながらも、スコアに反映させられなかった栃木Cにより、前半はスコアレスで終える事となりました。
巻き返したい山形、そのためには兎にも角にも保持時を立て直したい所であり。(ハーフタイムでの交代は双方無し)
いきなりの初手で後半1分(キックオフは栃木C)、GK渋谷からのパスワークを決め、西村縦パス→横山ポストプレイ→吉尾ロングパスと疑似カウンター気味に裏を突き。
抜け出す高橋の前でGK児玉が跳び出してクリアするも、セカンドを確保して敵陣でポゼッションという状況に。
エリア内右へ侵入ののち、田中渉→横山→國分と1タッチで繋いだ末に國分のシュートが放たれましたがGK児玉がセーブ。
この能動的な決定機が効いたか、その後暫くは攻撃権を支配する山形。
カウンターあり、中盤でのボールゲインからの速攻ありと、相手を逆手に取るような好機も生まれフィニッシュにも繋げます。
これで前半の閉塞感が打ち破られた……と早合点に至るにはまだ早かったか。
立ち上がりこそ出遅れた栃木Cですが、スタイルが定まっている以上向き直るのは早く、6分に最初の好機。
やはりGK児玉からのスタートで、左へ展開ののち開いたアウグストの持ち運びという手法で、岡本を剥がした事で山形ディフェンスを切り崩し。
その後のキープはこぼされるもののすかさず繋ぎ、逆サイドのモーベルグへ展開成功すると、自身で切り込みエリア内へカットインを仕掛けるモーベルグ。
タッチが大きくなるもクリアをブロックする形で継続になると、こぼれ球を山下がシュート(寺山ブロック)、クリアボールを森がボレーシュートで追撃(岡本がブロック)と強烈な連撃に持ち込み。
持ち運びを多用する、「個の力」の発揮で山形のゾーンの決壊を図ったでしょうか。
これが動揺を呼んだか、山形の保持は一気に乱れ。
8分に中盤で横山が倒されながらボールゲインに遭い、前半から反則が目立っていた升掛だった事もあり、反則無しのジャッジに不満を示しながらの守備を強いられ。
そのまま左奥からカットインを経てマイナスのクロスを入れた升掛、合わずに途切れるも、既に平常心を保つ事すら難しくなる山形。
その直後にもGK渋谷から保持を始めるも、あろう事かその渋谷が山下に詰められエリア内でボールゲインに遭う事態に。
こぼれ球がラインアウトしたため事無きを得ましたが、頼みであった渋谷も乱れるとあっては、最早ペースを掴むのは望むべくもないという状態に。
その後も渋谷は、ロングフィードが直接ラインアウトという絵図を膨らませるなど、自身が起点とならなければならない状態が重くのしかかった風でありました。
その後も、12分に西村がコントロールミスでパウロにボールゲインされる(これに西村が反則を犯すもアドヴァンテージで拾った山下がミドルシュート、GK渋谷キャッチ)など、辛い状況が続く山形。
前半の終盤同様、ひたすら耐える他無いという展開でしたが、2度もゼロでやり過ごせるのは楽観的だったか。
14分に地上でビルドアップ成功し、エリア内まで運ぶもフィニッシュには辿り着けなかった山形により、GKからの保持となった栃木C。
ここもバックパスを絡めての繋ぎから知念が縦パスと、突如としたスピードアップで翻弄される山形ディフェンス、道中パスミスが生まれるも森が寺山から奪い返し継続。
そして左奥を取り、パウロがクロスに辿り着いた事でCKに持ち込むと、とうとう押し続けた成果である先制点が生まれる事に。
クロスの跳ね返りを拾い、後方から繋ぐ二次攻撃に入ると、右サイド手前からパウロが入れた長距離のクロス。
これが中央のターゲットを越えるも、西村のクリアミスによりこぼれた所をすかさず知念が蹴り込み、ゴール上へと突き刺します。
最後は相手DFの判断ミスと、押し込み続けたが故の結末という絵図によりリードを得た栃木C。
これでビハインドとなってしまった山形、流れが悪いなら悪いなりに、攻めなければいけなくなり。
キックオフの前に2枚替え、國分・横山→平賀・田中祉へと交代と、両サイドハーフをそっくり代えその肥やしとします。
再開直後にその田中祉が右サイドを突き進む場面が見られ、早速それを活かさんと振る舞い。
勢いを齎さんとする田中祉ですが、22分逆に升掛に剥がされるという具合に、サイドアタッカーにありがちな守勢での脆さも見せてしまい。
この好機(その後升掛は岡本も剥がし、左奥からカットインを経てマイナスのクロス)から、再び栃木Cの猛攻が始まった事で、山形は追い上げる機運すら失ってしまうに至り。
その最中に、頭部で(クロスを)ブロックした吉尾が痛んでしまいピッチ外→復帰というシーンも作られ、専守のイメージに一役買う事となり。
何とか歯止めを掛けんと、ベンチも寺山→中村へ交代(27分)するなど必死に動きます。
その前に栃木Cベンチも、26分に森・モーベルグ→加藤大・吉田へと交代。(パウロが右へ回る)
30分栃木CのCKでの好機を断ち切ると、GK渋谷のスローからビルドアップを図る山形。
坂本のミドルパスを収めた平賀が反則を受けながらも繋ぎ、それにより生まれた隙で前進成功し、エリア内でシュートチャンスを得たのは田中祉。
そして放たれたシュートはブロックに阻まれるも、投入した矛の攻守における「デッドorアライブ」という状態は継続するに至ったでしょうか。
そしてその直後(32分)、残念ながらデッドの結果が生まれ。
ここも自陣で繋いで隙を探す栃木C、アウグストが間を取ってレイオフし、その後GKへの戻しからその児玉が痛烈にライナーでフィード。
これを山下の足元のフリックで吉田に繋がると、田中祉が吉田を止めんと倒してしまうも結局繋がれアドヴァンテージ、升掛がまたも左から切り込み。
例によって仕掛けられるカットインから今度は自らシュートを狙い、GK渋谷が正面でキャッチせんとするもまさかのファンブル。
そして山下が詰めてゴールネットを揺らし、再び山形ディフェンスのミスを逃さない絵面で2点目を奪いました。
これで機運もすっかり落ちる所まで落ちたという山形、相手の勝利への進軍を止める術は既にありませんでした。
34分に山下→平岡へと交代した栃木Cですが、守りに入る事無く一層動きが良くなった風で、次々とチャンスを作っていき。
山形は35分に最後の交代を敢行(岡本・田中渉→山田・タリソン)するも、やはり引き戻す事は難しく。
終盤を迎え、余裕すら感じられるような栃木C。
41分には例によって最終ラインからの保持に入った所、降りてきたパウロが逆方向へのロングパスでGKまで戻すという絵図からもそれは感じられ。
そしてここからしっかり決定機を作り上げ、ラインを上げる山形の背後を突く事に成功し、左奥へ切り込んだ吉田のマイナスのクロス。
これをニアに入り込んだ奥井がスルー、そして中央でパウロがシュート(GK渋谷脚でセーブ)と、栃木Cの流動性が全て詰まったようなフィニッシュが描かれました。
この直後に最後の交代を敢行した今矢監督、西谷・パウロ→加藤丈・小池へと2枚替え。(吉田が右に回る)
山形にとって、後は座して死を待つというような残り時間。
しかし諦めるのは許されず、西村を前線に上げるパワープレイの布陣に打って出る事に。(吉尾が穴埋めに最終ラインへ)
それも無理矢理な感が強く、かつ元来のスタイルをかなぐり捨てるようなものでしたが、これまでの展開からしても何かやらなければならないという妥当性はあり。
何度かゴール前に迫る山形でしたが、45分にその背後を突かれてカウンターに持ち込まれる(吉田が右からカットインを経てシュート、GK渋谷キャッチ)と、そんな最後の望みも尽き。
突入したアディショナルタイム、栃木Cの自陣での左スローインという局面で、升掛の長距離の投げ入れにより脆弱となった最終ラインを突かれる山形。
平岡の1タッチパスを受けた小池がエリア内左へ切り込むと、果敢に放たれたそのシュートはGKのニアサイドを強烈に打ち破った末に、ゴールに突き刺さります。
止めに相応しい一撃で、3点差を付けるに至りました。
その後山形は何とか反撃に出て、エリア内からの平賀のシュートも生まれました(GK児玉キャッチ)がゴールには辿り着けず。
3-0のまま試合終了を迎え、快勝という結果を得るに至った栃木C。
対して山形は、この最終盤の段階で「このままでは……」という現実を突き付けられるような試合となり。
強度重視の意識は完全とはならず、得意手(ボール保持)は衰えを隠せず……という中で、この日はゾーンディフェンスの節も見られましたがどれも中途半端な印象は拭えず。
この着陸点は何処になるのか、今の所は不安しかありませんが、中断期間を経ての脱皮は果たせるでしょうか。